飲食店が成功するかどうかは出店場所に大きく左右されます。お店のコンセプトに合わない場所に出店しても、たとえどんなにおいしい料理やいいサービスを提供しても繁盛しないケースがありますし、立地にこだわりすぎて一等地に出店しても高すぎる家賃に利益が圧迫され続けていくことができないケースもあります。それほど出店場所というのは店舗経営にとって重要なファクターなのです。そして一度出店してしまってから後で移転しようと思っても資金的にかなり難しいことがわかるでしょう。出店場所の選択は絶対に失敗できないものなのです。
店舗の賃貸物件を探すには、インターネットで探す方法と実際に出店予定地域の不動産屋を訪れて探す方法があります。インターネットでは店舗物件に特化したサイトもいくつかありますので覗いてみるといいでしょう。インターネットでは手間をかけずに多くの物件をみることができますが、物件数より出店希望者の方が多いため店舗物件は動きが早く、インターネットに載せる前に動いてしまう物件も多いです。
出店地域をある程度決めている場合は、その地域の不動産屋をまわって実際に物件をどんどん見ていく方がいいです。そこで、たくさんの店舗の図面を見て、たくさんの店舗物件を内見することで、その地域の相場感が分かってきます。家賃の他に面積や立地条件、周辺環境など、現場で見るべきポイントはたくさんあります。なかなか理想の条件がそろった物件は見つからないかもしれませんが、たくさんの店舗物件を見ていくうちに、自分の中であいまいだった条件がはっきりしてきて「譲れない点」や「妥協してもいい点」がだんだん分かってきます。物件を見る目が肥えてきて、さらに多角的な目線で店舗物件を見られるようになります。また、地元に根づいている不動産屋との話でその地域の特徴や飲食店事情などのこれからの営業活動において重要な情報を得ることもできます。
店舗物件=飲食店とは限りません。物販やサービス業のみで飲食店不可の物件もありますので、まずは目指すべき業態が営業できるのかチェックする必要があります。そして、店舗物件を探す際に気にしなければいけない項目は多数ありますが、その中でも重要なポイントは次の4つです。
① 立地条件
② 建物
③ 設備
④ 契約内容
これらについては別の項で詳しく解説していきますが、この他にも意外と盲点となるのが、電気の容量やガスの種類についてです。まず、電気の容量についてですが、厨房設備や客席照明、空調などで容量が不足することがないようあらかじめチェックしておきましょう。不足する場合は追加で容量を増やす工事が発生します。次に、店舗物件のガスの種類には都市ガスとLPガス(プロパンガス)があります。都市ガスは7グループ13種類に分類されており、「13A」「12A」が主な規格となっています。業務用のガステーブル、ガスオーブンも、都市ガス(13A、12A)用とLPガス(プロパンガス)用があるので、借りる店舗物件のガスの種類を事前に確認しておく必要があります。