勝てる市場とは?


お店のコンセプトを決めよう

最初の選択

飲食業は実にさまざまな業種・業態があります。別の項でもお伝えしましたが、飲食店がうまくいくかどうかは初めの選択にかかっています。その中の重要な要素の一つが、どの業種・業態を選択し、どこに出店するのか、つまり、どの市場に参入するかということです。これは本当に大事なことで、どんなに料理の腕がよくて死ぬ気で努力しても失敗してしまう市場もあれば、そこそこの実力でもやり方次第で成功できる市場もあります。そして、途中でこのことに気付いたとしても、お店の業態を変えたり、立地を変えたりするのは資金的にかなり難しいでしょう。そうなると先にも進めず、後にも戻れない自分ではどうしようもできない状況に陥って事業撤退しか道がないということになります。

参入してはいけない市場

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では、新たに参入する際に避けておくべき市場はどういった市場なのでしょうか。それは「大手企業の寡占が厳しい市場」です。具体的には、ハンバーガー店や牛丼店などです。これらは大手企業2,3社でシェアを争っており、市場が寡占されていますので、市場規模が大きいにもかかわらず事実上新規参入は不可能です。大手企業はその資本力を武器にして食材の大量買い付けで原価を引き下げ、また、蓄積されたノウハウでオペレーションの効率化を図って低価格と早い提供を可能にしています。個人の力でそこに対抗してもまず勝ち目はありません。そこで「安い、早い」以外の

価値をアピールするために、オーガニック食材を使ったからだに優しいメニュー構成で攻めるとしましょう。最初はお客さまが付いても、すぐに大手企業に同じようなメニューをもっと低価格で提供され、シェアを奪われてしまうでしょう。それだけビジネスの世界は厳しく、大手企業とまともにやりあっても成功する確率は低いのです。

成功できる市場

大手企業との価格競争に巻き込まれないようにするには、「大手企業の寡占の緩い市場」を選ぶしかありません。具体的には、居酒屋、ラーメン屋、喫茶店などです。こうした市場は、その大半が中小企業や個人経営者によって構成されているため、参入する余地が大きいと言えます。ターミナル駅周辺の街を注意して歩いてみてください。ハンバーガー店や牛丼店が大手チェーンの店舗ばかりなのに対して、居酒屋やラーメン屋は中小チェーンや個人経営のお店が多いことに気付くはずです。こういった市場では、差別化を図ること

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ができれば十分に生き残り競争に勝つことができるでしょう。もちろん、それはほかの人にとっても同じことですので、どんどん新たなお店が参入してきます。そこで勝ち続けるには容易ではありませんが、試行錯誤することはできます。少なくとも大手企業にあっという間につぶされることはありません。

次に参入余地がある市場は「ニッチな市場」です。まだ手を付けられていない市場は、寡占することができる市場とも言えます。こうなれば長期にわたってかなり有利なビジネスを展開することが可能です。ここで注意しなければいけないのは新しいものは認知度を高めるのに時間がかかるということです。どれだけいい商品を開発しても多くの人に受け入れられるようになるにはプロモーションコストとある程度の期間が必要です。今はSNSなどがありますので、口コミなどで爆発的人気が出ればしめたものですが、そうでないと企業体力の乏しい個人経営者には持ちこたえられないかもしれません。また、手を付けられていない市場は、「そもそも他者が開拓しようとしたが、ものにならなかった市場」かもしれないのです。ニッチな市場は、その市場を独占できる可能性がある魅力的な市場である反面、かなりリスクも大きい市場です。

商圏人口と市場

選択した市場がニッチな市場の場合は、そもそもお客さまの絶対数が少ないです。例えば、モロッコ料理を提供するお店は和食を提供するお店に比べると、ターゲット層の数はかなり限られてきますね。しかし、周りに競合するお店はなく、味にも自信があるのでぜひチャレンジしたい。こういったケースでは、商圏人口の多い立地に出店することが成功の第一歩です。郊外の幹線道路沿いにお店を構えるより、駅近のビルにテナントとして入る方が成功する確率が高いでしょう。こうすることで市場規模の小ささをカバーし、来店客数を確保するのです。ランチタイムでも夕飯時でも、あらかじめお店を決めて行く人もいますが、なんとなく目についたお店に入るという人も一定数います。商圏人口の多い立地では、こういったお客さまを取り込める確率が高くなります。

逆に、ラーメン屋や焼き鳥屋などの市場規模の大きい業種では商圏人口の少ない立地でも成り立たせることができます。ということは、商圏人口が多ければ2号店、3号店を出店できるチャンスがあるということです。