物件を探そう2


開業の準備をしよう

繁盛店のコツは立地にあり

物件選びにおいて最重要項目は言わずもがな「立地」でしょう。一般的には人通りの多い駅前の1階が良い立地と考えられていますが、全てのお店にとって良い立地というのはありません。例えば、前述の立地は回転率重視のファーストフード店にとっては良い立地といえるかもしれませんが、雰囲気重視のカフェバーにとってはどうでしょうか。ゆったりとした落ち着きやすいスペースを求めているお客さまにとってはその立地はベストとは言えませんね。このように良い立地というのはそのお店のコンセプトやターゲット層によって違ってくるのです。

あえて二等立地を狙う!?

飲食店では「一等立地」と呼ばれる人通りの多い場所にある集客条件のいい土地、主に駅近の繁華街や主要道路に面している場所が好条件とされています。対して、裏通りにあったり繁華街から一本外れた場所にある土地は「二等立地」と呼ばれます。単純に比較すれば、人通りが多い一等立地の方が一見さんのお客さまの集客が見込まれるため有利で、二等立地の方が不利であると言えます。しかしながら、一等立地にあるお店は人目につきやすいためこのような集客効果はありますが、好条件のため賃貸料は必然的に二等立地よりも高くなります。対して二等立地は条件的には一等立地よりも劣ってしまいますが、その分賃貸料が比較的安いという大きなメリットがあります。

ハンバーガーチェーンのモスバーガーが、一等立地で先行したマクドナルドに対してあえて住宅地に近い二等立地に展開することで成功を収めたのは有名な話ですね。このようにお店のコンセプトや集客方法を工夫していけば十分に飲食店として収益をあげることができます。二等立地のメリット・デメリットには次のようなものがあります。

【メリット】

・一等立地と比較してイニシャルコスト(保証金、礼金、仲介手数料)が安いため、開店費用にかかる借入額を低くできる

・一等立地と比較してランニングコスト(家賃、共益費)が安いため、経費を低く抑えることができる

・一等立地と比較して物件数が多く、選択肢が広い

【デメリット】

・お客さまにそのお店を選んできてもらう「目的来店」を増やす工夫が必要

・立地に合った集客方法が必要(チラシ、看板、ネット集客等)

二等立地選びのポイント

○看板設置の可否を確認しよう

二等立地はメインストリートから1本入った脇道などに多くあります。このメインストリートから見えるところに看板が出せるのかどうかを確認しましょう。または、自店の入るビルに大きな袖看板を出すことが可能かどうかも事前に不動産屋に確認しましょう。自店のエントランス看板よりも大通りからお店を認識してもらうための看板の方が重要です。

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○ 家賃交渉をしよう

すぐに借り手が見つかる一等立地と違い、二等立地は完全な貸し手市場ではありません。物件選びの際は、できるだけ多くの物件を見て物件取得費や家賃、共益費を比較して家賃交渉を行ないましょう。話し合いによってはこれらの費用を下げてくれるオーナーもいますので、家賃交渉をやっておいて損はありません。家賃は開業後のランニングコストに直結しますので、良い物件に出会えたらぜひがんばってみましょう。

○ 相乗効果を狙おう

繁華街ではなくても、流行っているお店(飲食店にかぎらず、美容院や雑貨店、スーパーなど)が隣接してるか、近くにあれば集客が期待できます。流行っているお店を目当てにお客さまがその地域に来ることで、当然自店の認知度もあがります。さらに、自店のお客さまがその地域の他のお店にも行っていただけるようになる相乗効果が生まれることがあります。いくつかの相乗効果がさらに人を呼び込むことでその地域が活性化され、二等立地でありながら一等立地にランクアップする可能性もあるのです。人気のあるお店の情報は不動産屋でも聞くことができますので、物件探しと情報収集を同時に行っていきましょう。

○ 大型マンションをチェックしよう

駅前から離れた住宅地などにある物件では、周辺の大型マンションや戸建てが集まっている地域をチェックしましょう。そのマンションがファミリー向けなのか、ディンクス・シングル向けなのか、駅までの通勤路や通学路などを調べます。それらを調べることによって、平日の主婦層のランチ客が見込めるのか、仕事終わりのサラリーマン客が見込めるのかなど、物件の特性を見極めることができます。

新築分譲の物件なら、広告に完成予定や販売戸数、販売価格が明確に記載されています。そのマンションの完成時期が分かれば、早めに物件を押さえることができますし、販売価格を見れば相場より高いか低いかがわかり、高ければ所得が高い人が住む可能性が高く、低ければ若い夫婦などが住むのではないかと予測を立てることができます。ターゲット層の平均所得を知ることができれば、お店のメニュー価格や業態を決める要素となります。

○ 近隣の施設で売れているものを確認しよう

近隣のスーパーやコンビニで、何が推奨されていて、どんなものが沢山売れているかは、そのエリアにどんな人が住んでいるかを指す指標になります。例えば、コンビニの目立つところに、男性用のパンツとシャツ、靴下が売られているエリアでは、出張が多いエリアだということが分かります。同じ並びに、ビジネス用のシャツやネクタイを並べているコンビニもありますね。サラリーマンの出張が多いのではないでしょうか。または、近くのスーパーで、鮮魚がすごく売れている場所では、どんなものが好まれるでしょうか。

最後に、クリーニング屋も実は非常に参考になります。もしも男性用スーツ比率が圧倒的に多いクリーニング屋が近くにあれば、それだけでサラリーマンで単身の男性が沢山住んでいることが分かります。ふらっと寄れる大衆店が、流行りそうですよね。