開業資金を調達しよう


開業資金を調達しよう

開業資金の調達について

飲食店を開業するには物件取得費用や工事費用、当面の運転資金などまとまったお金が必要です。すべて自己資金でまかなえればそれに越したことはありませんが、多くの方はどこからか資金を調達しなければならないでしょう。今すぐ思いつくのは「人から借りる」「銀行から借りる」くらいでしょうか。ほかにも、「日本政策金融公庫の融資制度を利用する」「信用保証制度を利用する」などの方法があります。どれかひとつの方法で調達しなければいけないわけではありません。各方法の特徴を踏まえたうえで組み合わせて自分に合った資金調達方法を選択したいですね。

人から借りる

この場合は、全くの他人からお金を借りてくるのは不可能でしょうから、血縁や親族を頼ってお金を借りるという方法が最も多いです。親や兄弟、親戚などからお金を借りるわけですが、お金の問題はきっちりしておかないと後でトラブルに発展しやすいです。返済義務の有無や利子の有無、返済方法などを双方で取り決めて書面に残しておきましょう。特に返済義務のないお金は金融機関などから融資を受ける際に「自己資金」として認められ、融資の審査が有利になります。親族間での貸し借りに多い返済期限なし(出世払い)のようなお金は、グレーですが自己資金として認められる場合もあります。

親族以外でお金を借りる方法としては、友人や個人的に事業を応援してくれるパトロンから借りる方法があります。こちらも返済方法などの取り決めをしっかりと書面で残しておいた方がいいでしょう。また、返済義務がない場合は金融機関などで融資を受ける際に自己資金とみなしてもらえますが、お金の出処を確認されますので、貸主の身元や贈与に関する書類を整備しておきましょう。

日本政策金融公庫の融資制度を利用する

自己資金や親族などから借りたお金で足りない場合は、金融機関から借りなければなりません。その中でも最も一般的なのが国の公共機関である日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)の融資制度を利用して資金を調達する方法です。申し込みから融資までの期間が比較的短く、公的機関のため金利も低めに設定されていますので利用しやすいです。申し込みにあたっては次のようなポイントがありますので、事前に確認しておきましょう

<ポイント1>自己資金はいくらあるのか?

自分の預貯金や親族などからのお金、積立式の生命保険なども資産としてみてもらえます。自己資金は総投資額の1/3以上は用意しておきたいです。自己資金が少ないと融資額も多くは望めません。

<ポイント2>保証人や担保はあるか?

金融機関から融資を受ける場合、一般的には保証人をたてる必要があります。例えば自分の親に保証人になってもらう場合は定期的な収入がないと保証人として認めてもらえません。定年して収入がない、もしくは低収入の場合は第三者の保証人を探さなければいけません。自分が所有している土地や家屋を担保にすることもできますが、借入限度額は土地や家屋の評価額の60%程度です。では、保証人や担保がないと融資を受けることはできないのでしょうか。そんな方のために、無保証・無担保でも融資を受けることができる「中小企業経営強力化資金」という制度がありますので、あきらめずに調べてみてください。

<ポイント3>専門家のサポートはあるか?

資料作成や面談において、全て自分だけで行うのは時間的にも作業的にもかなり大変です。慣れない作業で書類に不備があれば融資を受けることができなくなる可能性もあります。そうならないように積極的に専門家の力を借りるべきです。中小企業や個人事業主が抱える経営課題に対して事業計画などの面で支援を行うために政府によって認定された認定支援機関があります。実績のある支援機関に相談し、力になってもらいましょう。

<ポイント4>事業計画ははっきりしているか?

事業の目的や販売する商品、お店のコンセプト、投資コスト、自己資金と借入金、主な取引先、損益計算書などをまとめて事業計画書を作成しておきましょう。開業までの計画と開業後の経営プランなどがしっかり説明できないと事業が評価されずに融資を受けられる可能性も低くなります。専門家にも見てもらって説得力のある計画にしましょう。

信用保証制度の融資を利用する

金融機関の商品には起業する方向けの商品がいろいろとありますが、その中でも特に利用されているのが信用保証協会付きの融資制度です。信用保証協会とは、中小企業や個人事業主が金融機関からの資金調達を円滑にできるように信用保証制度によってサポートする公的機関で、各都道府県に設置されています。

信用保証制度を利用することによって、担保がなくても融資が受けられたり、保証人がいなくても融資が受けられたりといったメリットがあり、より融資が受けやすくなります。もちろん信用保証協会を通せば無条件で融資が受けられるわけではありません。しっかりとした事業計画がないと制度を利用することはできないでしょう。ひとつデメリットを挙げると、日本政策金融公庫と違い、融資が実行されるまでに時間がかかったり、金利が少しあがってしまうという難点があります。資金調達のメインとして利用するのは難しいかもしれません。

ノンバンク系からの借金はやめよう

上に述べたように融資は基本的に公的機関を利用するのがベターです。営利を目的とした機関ではないため、金利や保証、返済期間などが事業主にとって良い条件で設定されているからです。逆に、借りやすいからといって金利の高いノンバンクから多額の借金をして開業資金にあててしまうと大変な目にあいます。開業して間もない資金力の弱い時期から苦しい返済に追われ、お店が軌道に乗る前に廃業に追い込まれてしまうということになりかねません。

最後に、開店時に沢山貯金があるに越したことはないですが、限度があると思うので、銀行借入はきちんと実施することをお勧めします。無借金で現預金残高1万円の飲食店Aと、1億円の借入があって現預金残高1億1万円の飲食店B、どちらが潰れにくいでしょうか。例を挙げると、震災などの自然災害で、多くの飲食店が潰れます。それは、修繕費以外にも、家賃や従業員への賃金が支払えなくなるからです。是非、しっかりと銀行調達をして、現預金を多く持ってご経営してください。