多店舗展開を目指そう


多店舗展開に向けて

2号店の出店計画

飲食店を開業し、それがうまくいって軌道に乗せることができたら「そろそろ2号店を出したい」と考えるのではないでしょうか。2号店を出し、成功すれば「収入が増える」「スタッフの活躍の場が広がる」「多店舗経営のノウハウが得られる」など事業主として一歩も二歩も成長することができます。1店舗目を成功させるだけでも相当の苦労がありますので、それなりの経営手法が身についているとは思いますが、2店舗目を成功に導くにはそれだけでは足りません。人材育成や多店舗経営のマネジメントなど2号店ならではのポイントがありますので詳しくみていきましょう。

多店舗展開のメリット

○売上を伸ばせる

当然1店舗より2店舗、2店舗より3店舗の方が売上の上限はあがります。お店によってかかる経費が変わりますので単純に2倍、3倍とはいきませんが、うまくいけばより大きな利益を上げることができます。1号店の売上が頭打ちになり安定しているのであれば販売機会ロスがあるということですから2号店出店の動機になります。逆に1号店でまだ売上を伸ばす余地があるのであればそちらに注力するべきです。

○経営リスクを分散できる

複数の店舗を経営していれば、万が一ひとつの店舗でトラブルが発生し、売上が上げられなくても他の店舗の利益でつなぐことが可能です。また、突発的なスタッフの欠員や原材料の不足などにも相互に補完することで問題を解決することができます。こういった1店舗の経営ではどうしようもできなくなる経営上のリスクを分散させることができるのです。

○仕入コストを下げられる

店舗が増えればそれだけ仕入量も増えます。同じ仕入先でも仕入量が増えれば単価を下げられる可能性は大いにあります。仕入は食材のみならず備品や消耗品などもありますので、これらすべての仕入単価を下げられれば大きな経費削減となり、利益率のアップにつながります。このように複数店舗経営によるスケールメリットは仕入面において最大限に発揮されるでしょう。

○お店の認知度があがる

地域内で同じ名前の店舗があればそれだけ人の目に触れることになりますので、自然と認知度があがります。多くのお客さまに知っていただくことにより、お店の信頼度があがり、ひいてはブランドイメージの向上につながります。これはお店の営業内容が良いものであるという前提ですが、複数店舗の強みと言えるでしょう。

2号店出店のタイミング

2号店出店に踏み切るにはどのようなタイミングがベストなのでしょうか。1店舗目の経営状態が良くないのに2店舗目を出店する人はいないと思いますが、まずは1号店の経営が安定していることが必須条件です。2号店出店の際も金融機関からの借入れが必要になります。そのときに1号店の経営状況は必ずチェックされますので、そこで十分な利益が出せていなければ融資を受けることはできません。目安としては、最低でも営業利益率10%以上を確保していることが望ましいです。

次に、1号店を任せられる人材が育っているかどうかです。2号店を出店するにあたり、事業主はそちらの事業に集中しなければなりませんので、1号店をマネジメントできる人材が必要です。新規店舗の開業には準備から開店後しばらくの運営は事業主がコントロールしなければなりませんから、ある程度の期間お店を安心して任せられる人を育てておかなければなりません。自分のお店のことはすべて自分で目を通して管理しなければ気が済まないという方もいます。しかし、3店舗目、4店舗目を考えたときに人を育てられるマネージャークラスの人材がいなければ事業を成功に導くことはできません。任せられる度量を持つことも経営者として必要なことだと心得ておきましょう。

2号店出店のポイント

複数店舗経営の第一歩となる2号店はできるだけ1号店に近い方がいいです。あまりにも近接していると顧客の取り合いになってしまいますが、多少商圏が重複しても同エリアで出店するメリットの方がはるかに大きいです。スタッフや原材料などの経営資源の流用が効率的に行える、同地域の1号店の成功セオリーを踏襲できるなどのメリットです。全く違う業態で違うエリアで新たに勝負してみたいという方は別ですが、少しでも2号店の成功確率を高めたいのであれば、やはりノウハウのある1号店をベースにした方がいいでしょう。

複数店舗の経営で失敗しないためには、人に依存しない店舗経営をすることです。マネージャークラスを除いて誰がどの業務を行っても同じクオリティの仕事ができるような仕組みづくりをしておくことが重要です。そのためには人材育成を含めたマニュアルの整備や正規レシピの徹底など、業務を標準化する必要があります。あなたがいないとお店がまわらない、○○さんがいないと業務が滞ってしまうというような状態は避けなければなりません。業務の標準化は一朝一夕にできるものではありません。時間をかけて業務のムダを省いて効率化し、自分なりのベストマニュアルをつくりあげていきましょう。