赤字経営になっているお店というのはどこかしらに少しずつ問題があるという場合がほとんどです。赤字をその日のうちに黒字に塗り替える魔法のようなものはありません。まずはお店の状態を徹底的に観察し、何が問題なのかを探ることです。スタッフのお客さまに対する態度はどうか、元気な挨拶や笑顔での接客はできているか、ホールやテーブルは清潔にしているか、料理の提供は遅すぎないか、料理のレシピはきちんと守られているか、など今一度見直してみましょう。うまくいっていないお店はこういう当たり前のことができていないことが多いです。
商品の見直しや新たなメニュー開発などは時間がかかります。それよりも接客マナーの改善などすぐに手を付けられることから始めていきましょう。その際、お店の経営方針を理解してくれなかったり、改善のみられないスタッフには思い切って辞めてもらいましょう。事実、赤字店舗の経営者の多くはスタッフとの衝突を避けて人件費削減に取り組めていません。長く働いてくれているからとかシフトを組みやすいからとかそういった理由で雇い続けていてもお店に良い影響を及ぼしません。ここは経営者の目線で正しい判断を下してください。
売上はあるのに利益が出ない、その原因は経費が利益を圧迫しているからです。使っていない電気はこまめに消す、水は出しっぱなしにしない。これも当たり前のことですね。しかし、自分の家ではできることがお店で働いているときは気にしないスタッフが多いのも事実です。こうしたコスト意識を持たせることも経営者として重要なことです。営業終了後もだらだらとお店に残っていたり、お店の食材をつまんだりしているようなスタッフはいませんか?アットホームは雰囲気をつくって和気あいあいと働いてもらうのは構いませんが、締めるとこは締めないとムダな経費がかさんでしまいます。お店はサークルではなく、労働の対価として賃金をもらえるところです。スタッフの意識改革によって更なる経費削減を目指しましょう。
意識改革に有効なのはあいさつの徹底と店舗の清掃です。行動心理学では環境が行動を変え、行動が意識を変えるという考え方があります。元気のよいあいさつを徹底することで店舗内の雰囲気が一気に良くなり心地いい空間を生み出します。また、お店の清掃をスタッフみんなが真剣に取り組むことにより、キレイなお店でお客さまを迎えるというおもてなしの心が育ちますし、ムダな経費の温床となるダラダラとした雰囲気がなくなります。
お客さまのためと考えてメニュー構成が大きく広がりすぎていませんか?メニューが多いということはそれだけ調理方法も多く厨房オペレーションに負担がかかります。その結果、お客さまを待たせてしまうということになり、満足度を下げてしまいます。また、メニュー数が多いとそれだけ原材料の種類も多くなり、在庫を多く抱えることになります。それは在庫の廃棄ロスの増加の原因となり、原価率の上昇を招いてしまいます。自分のお店のウリは何なのか、コンセプトをもう一度確認したうえでメニュー構成を整理してみましょう。
さらに、メニュー構成がターゲットに合っているか再確認してみましょう。商圏人口の多い立地でターゲットを絞って営業をしているならメニューもできるだけ専門化し、差別化を図るべきです。反対に商圏人口の少ない地域でターゲットを広げて営業している場合は、万人に支持されるスタンダードなメニュー構成としなければなりません。
販売促進のためにグルメサイトなどのクーポン券の発行システムを導入している店舗は多いと思います。クーポンがあるからこのお店にしようというお客さまもいます。しかし、集客メリットよりデメリットの方が大きい場合はどうでしょうか。通常、そういったシステム導入には少なからず料金が発生します。また、クーポン管理により現場での業務が煩雑になり、人件費の増加につながります。クーポンをやめるとお客さまが減ってしまい、ますます赤字になってしまうのではないかと躊躇するかもしれませんが、思い切ってやめてみましょう。その分サービス向上や料理のブラッシュアップに力を注ぎ、お店の基本的な魅力をアップさせるのです。そうすることでクーポンに頼ることなく集客し、徐々に売上を伸ばしていくことができるでしょう。
赤字経営になると立て直すまでの期間は赤字が続くことになります。この期間が続けば続くほどお金も時間もムダにしていると考えてください。ですから赤字再生は一気呵成に行うべきです。追加投資をして外観をリニューアルしたり、新しい一押しメニューをアウトソーシングで追加するなど、多少お金がかかっても必要な改善ならばすぐに行ってください。「赤字をだらだらと続けるくらいなら追加投資をして一気に赤字を解消する」くらいの覚悟を持って行わなければ赤字再生などできません。
また、このままいくと会社の存続自体が厳しいという場合は、銀行への返済リスケジュールをきちんと行うことをお勧めします。再建案を作成し、きちんと交渉しましょう。複数行から借り入れてる場合は、メインバンクをまず訪問するように気を付けましょう。